■PRTRとは
　 PRTRとは「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度です。
　 これは、危険、有害性が認められている第一種指定化学物質354種のいずれかを取り扱う場合、その化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に「排出」されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に「移動」されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みで、平成11年（1999年）7月に公布され、平成13年（2001年）４月からスタートしたものです。

■PRTR算出システム
　 本システムの内容は、平成13年に日本クリーニング環境保全センターが経済産業省（旧通商産業省）、環境省（旧環境庁）及び社団法人化学工学会による監修を受け作成した「クリーニング業におけるPRTR算出マニュアル」をパソコン用算出システムにしたものです。
　 クリーニングで使用する溶剤や洗剤で、届出の対象となる第一種指定化学物質の排出量及び移動量などを自動的に算出し、各都道府県経由で厚生労働大臣宛に提出する届出書類が作成できます。
　 ただし、本システムは一般的な簡便算出法として作成したものですが、さらに、合理的な算出法があれば本システムにこだわる必要はありません。
　 なお、本システムの詳細については、同マニュアルに記載されていますのでお求め下さい。
　 ＊問い合わせ先：日本クリーニング環境保全センター（Tel:03-5362-7201）

■クリーニングに関係する第一種指定化学物質
　 クリ−ニングに関係する第一種指定化学物質は（表１）と（表２）です。

■PRTR届出の目安
　 わが国のクリーニング産業では多くの企業がPRTR届出の対象外になると考えられますが、さて、あなたの企業はこの制度に基づく届出が必要でしょうか？不必要でしょうか？
　 まず、下記のガイドラインに沿って目安をつけてみましょう。 　
　 届出が必要であろうと判断された場合には、PRTR算出システムの操作手順に沿って数値等を打ちこみ、第一種指定化学物質の排出量及び移動量の届出書類を作成して下さい。
　 なお、書類の届出先は「各都道府県経由で厚生労働大臣宛」です。

■PRTR算出システムを使用する前に
1）MSDSとは
　 これから、PRTR算出システムを用いて、クリーニング業でPRTR届出の対象となる「第一種指定化学物質の排出量及び移動量の届出書類」を作成するにあたって、あなたの企業が購入している各種の「石油系溶剤」、「ドライクリーニング用洗剤」及び「ランドリー（または、リネンサプライ）用洗剤」についてのMSDSが必要です。
　 MSDSとは「化学物質安全性データシート」の略で、メーカーは製造販売するにあたって、その製品に含まれる化学物質、含有率、製品についての性状、安全性、取扱い方法などの情報をユーザーに提供する資料です。 　　　　　　　　　　　
　 含有率１％以上の第一種指定化学物質は算出の対象となるので、算出前には必ずMSDSをご確認ください。さらに、第一種指定化学物質のうち、洗剤や洗剤中に含まれている界面活性剤の場合(表２)はドライクリーニング及びランドリー用洗剤の両者で使われている場合があり、両者を合計すると届出が必要になるケースもありますのでご注意ください。