装飾用素材として用いられるスリット糸(ラメ糸)には、アルミニウムが使用されています。
今回は、アルミニウムの変化によりスリット糸の金属光沢が消失した事例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
セーターの背中などに脱色したような状態でグレーからベージュ色に変化している部分がある。
スリット糸に蒸着していたアルミニウムが消失したことによるもの。
アルミニウムの消失部分には、塩素イオンが確認でき、着用中に付着した汗の成分などが作用したことにより生じた現象と推定される。
アルミニウムは水分などに弱い性質がある。
着用中に付着した汗汚れなどの成分は湿気を吸収しやすいため、速やかに水処理を行い、十分に乾燥することが望ましい。
また、保管の際は湿気の多い場所や酸化窒素ガスとの接触を避けるなどの注意が必要だが、空気中に含まれている湿気やガスを完全に排除することは難しい。
スリット糸はポリエステルやナイロンのフィルムにアルミニウムを蒸着させ、細い糸状にしたもので、ラメ糸ともいう。
カクテルドレスやイブニングドレスなどのほか、セーターやカーディガン、ブラウス、ジャケットなど一般的な衣料品の装飾素材として幅広く用いられている。
スリット糸には、ワンプライとツープライの2種類がある。
ワンプライはフィルムに蒸着したアルミニウムを樹脂でコーティングした構造、ツープライはフィルムに蒸着したアルミニウムをもう1枚のフィルムで挟み込んだ構造になっている。
構造上、ツープライの方がワンプライより水分や酸化窒素ガスの影響を受けにくい。
スリット糸にはアルミニウムが使用されていることから、次のような注意を要する。
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