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衣料管理情報(クリーニング注意情報)「ポリウレタン樹脂の劣化による剥離」

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バックコーティングが施されたブルゾン。バッ
クコーティングは透湿防水やダウンの吹き出し
を防止するために使用されていることが多い

ポリウレタン樹脂は、合成皮革やボンディング加工布、コーティング加工布などに使用されており、外観上は変化していないように見えても劣化が進行していることがあります。
今回は、コーティング加工布の例として、バックコーティングに使用したポリウレタン樹脂が劣化して剥離した事例を紹介します。

監修/クリーニング綜合研究所

衣類の状態

 利用者から、全体各所が白く抜けたようになっているとのお申し出があったもの。
 外観は、生地が透けたようになっている。外からは確認できないが、生地の裏側はポリウレタン樹脂でコーティングされている。

ポリウレタン加工樹脂が劣化し、波状に生地が透けたようになって
いる

原因

バックコーティングに使用されているポリウレタン樹脂が、長期の使用の間に空気中の水分などによる作用を受けることや、クリーニング処理の繰り返しなどで劣化したことにより、部分的に剥離したもの。

事故の防止対策

 ポリウレタン樹脂の経時的な劣化は避けることができないため、抜本的な防止策はない。
 ポリウレタン樹脂は空気中の水分による加水分解などにより、通常2~3年で劣化することが明らかになっており、クリーニング事故賠償基準ではコーティング品の平均使用年数を2年としている。

ポリウレタン樹脂加工製品
全般に対しての注意事項

コーティング加工は、織物や編物の基布にポリウレタン樹脂などを塗布して皮膜を作ったもの。
合成皮革を含め、コーティングやボンディングなどのポリウレタン樹脂加工製品全般に対しては、次のような配慮が求められる。

■品名…ブルゾン
■素材…
表地:ポリエステル100%
裏地:キュプラ、ポリエステル
中わた:ダウン95%、フェザー5%
※ コーティング加工やボンディング加工に使用されているポリウレタン樹脂は、組成表示の対象になっていない(この事故品は該当表示なし)。ただし、ポリウレタンを使用していることを示す表示がされている場合もある。
■処理方法… 石油系溶剤によるドライクリーニング、タンブル乾燥
■取扱い絵表示…
衣料管理情報「ポリウレタン樹脂の劣化による剥離」
 
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