キャプション見返しや衿などにドット状のシミが生じたジャンパー
石油系ドライクリーニングを行ったところ、前身頃見返し部分や衿、台衿などの接着芯地が使用されていると思われる部分に、ドット状のシミが生じている。
ドット状のシミは、溶剤中の油性物質等が接着樹脂の芯地に吸着し、再汚染したもの 溶剤中に溶解している油性物質などが接着芯地の樹脂に吸着、再汚染したもの。
顕微鏡で観察すると、シミ部分の繊維が樹脂で粘着していることや、エタノールや油性シミ抜きスプレー等でシミが除去できることから、油性物質等による汚染が生じていると推定できる。
メーカー指定量のドライ洗剤をチャージした清浄な溶剤を使い、負荷量、洗浄時間、循環液量などを適正に管理すること。
特に石油系ドライでは、フィルター性能の低下や能力不足、吸着性のない油性汚れの存在等のため、溶剤中に汚れが蓄積することから、溶剤の酸価と着色状態、フィルター圧などをチェックする必要がある。
酸価は、溶剤中に溶け込んだ油性物質の蓄積量の目安になるもので、0.3以下に管理する。
溶剤の着色状態は、新液の無色透明な状態の時に透過する光の量を100％として、溶剤の着色がどの程度の状態にあるかを％で表す透過率で、75％以上あることが望ましい。
負荷量は、メーカーが指定するワッシャー標準負荷量の80％程度に調整することが望ましい。
負荷量が多くなれば、溶剤中に出てくる洗たく物からの汚れの量も多くなるため、フィルターでの汚れの除去に時間を要する。
一浴でのフィルター循環による洗いを基本とする石油系ドライでは、汚れがフィルターで完全に除去された時点で完了するのが理想であり、洗浄時間はフィルターが汚れを除去するのに必要な時間を考慮して設定する。
汚れがフィルターで完全に除去されるまでの時間は、循環液量とフィルター性能で決まる。
フィルターで汚れを十分に除去するには、1ワッシャーを洗う間に少なくともワッシャー内の溶剤量の7倍程度の液量を循環させることが必要とされている。
またフィルター圧力の最高許容値は一般に0.2MPa（2㎏／cm2）とされている。
再汚染で多いのは、カーボン状粒子によるもの。カーボン状粒子による再汚染は、再汚染除去剤を使い、もみ洗いすることで通常は除去できる。
再汚染除去剤は、再汚染の確認が主な目的で調合しているため、洗たく物全体の再汚染を除去する作業には適さない。
※再汚染除去剤
高級アルコール系洗剤60ｇ、カルボキシメチルセルロース（CMC）23ｇ、トリポリリン酸ナトリウム17ｇを適当量の水で混ぜ合わせ、ヨーグルト状にした調合剤
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