ポリウレタン樹脂などを織編物にコーティングした合成皮革は、天然皮革に比べて安価・軽い・柔軟性に富むなどの特性がある反面、経時劣化が避けられない素材です。
今回は、合成皮革製品の典型的な事故事例である剥離について紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
クリーニングしたダウンジャケットを長期保管した後、出してみたところ、袖口やポケット口、その他装飾に使用されている革部分が剥がれていると持ち込まれたもの。
組成表示には「革部分 山羊革」と表示されている。
装飾に使用されていたのは山羊革ではなく、ポリウレタン樹脂を用いた合成皮革であったため、長期保管中に空気中の水分などにより、ポリウレタン樹脂が経時劣化し、剥離したもの。
合成皮革などに使用されるポリウレタン樹脂の経時的な劣化は避けることができないため、抜本的な防止策はない。
ポリウレタン樹脂は空気中の水分による加水分解などにより、通常2~3年で劣化することが明らかになっており、クリーニング事故賠償基準では合成皮革(ポリウレタン樹脂)の外衣の平均使用年数を3年としている。
合成皮革は、織物や編物の基布にポリウレタン樹脂などをコーティング(塗布)したもの。合成皮革の多くは基布とスポンジ層と皮膜の3層構造になっている。剥離は、スポンジ層と被膜の両方の部分に生じる。
合成皮革製品全般に対しては、次のような配慮が求められる。